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2008年12月

フロスト気質

R.D.ウィングフィールド 【創元推理文庫】

このあいだ1作目を読んで、いきなりシリーズ4作目。
読む順序が前後してしまいましたが問題なし。多分。

上下巻。プロットは複雑に錯綜し、大きいものだけで3つの事件がノンストップで同時進行します。不眠不休のフロスト警部といっしょに読んでるほうもフラフラになるよ!読み始めたらとまらないし!

1作目は古き良き英国の雰囲気でしたが、この作品の刊行までに10年の歳月が経ってることもあってか、だいぶ世相が厳しくなっております。コンピューターや携帯電話も出てくるし、発生する事件も何だかやるせない感じ。

殺人犯にもちゃんと理由があって本当に邪悪なだけのやつは誰もいないというのは前作と同じですが、事件自体がより悲惨で背景も現代的になっています。

とはいえ、フロスト警部のお下品&適当っぷりは健在。
今回は身内にいじめっこ(笑)が2人いて、プレッシャーがかなりきつくてちょっとかわいそうですが。あ、邪悪なだけのヤツがここにいたじゃん。。

思わず笑ってしまうボケの数々は見習いたいところ。?
頭脳明晰なようでいて実はただの思いつき。でもそれを押し通すことで強引に真相にぶち当たる泥臭さは応援せずにはいられないわ!

2008年12月

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クヌルプ

ヘルマン・ヘッセ 【新潮文庫】

これは…現在の私のキリギリス人生を肯定してくれるようでもあり、将来について警告するようでもあり…ビミョーな感じ。あくまでも現在のわたし的に。

とても詩的な物語で、まさに蝶々の一生を語るよう。
ただ美しいだけのクヌルプの生き方に全面同意してしまう芸術至上主義の私がいると同時に、そのはかなさに暗くなってしまう私もおります。

彼のような人はある意味理想なんだと思う。
こういう男が好きというのではなくて、こういう人間に私はなりたい。イヤなりたくないけど。野垂れ死には嫌だ。。

2008年12月

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数学的にありえない

アダム・ファウアー 【文藝春秋】

上下巻。いちおう数学(確率論)がベースになってますが知的サスペンスというよりはむしろプリズンブレイクな感じ。理詰めで計画を立てて先回り先回り、みたいな。どんどん話が進んでいくのは「24」っぽくもあって、こういう感じが流行ってるんだな~と思います。ちょうど4~5年前の発表だし。

ちょいネタバレになりますが京極堂ばりの叙述トリック(笑)もあって、エンタテインメントとしては上々。チラチラ入ってくる数学ネタも難しすぎずいい感じです。実際にはストーリーはSFに近いけど。

わたし的には、前々から思ってた仏教の世界観がSFっぽいことの謎がこれでなんとなく解けたような気がしました。
命をエネルギーとして考えるということはすなわち数式であらわせるということで、そうすると量子物理学にも相対性理論にもリンクできてしまうんですね。詳しいところはさっぱりわかんないけどすごいぞ仏教。

そう考えると東洋思想っていうのは根っこの部分で数学的なんだなあ。
なんとなく神秘的に感じるのは宇宙に通じているからなのか。

2008年12月

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恩讐の彼方に 忠直卿行状記ほか8編

菊池寛 【岩波文庫】

テーマ小説というらしいですが、これってあれよね、いわゆる二次創作というか。誰もが知っている有名なキャラクターを借りてきてお話をつくる。SSですね(笑)

でもそう考えたら、歴史小説なんてみんなそうなんだな。信長、秀吉、家康なんて日本人なら誰でもある程度背景やら性格やら知ってるもんね。まあナマモノ(笑)なのである程度動かせない事実というのはあるけれど、あとは作家が細かい設定を創作して語らせ、動かすわけだよね。

さて、菊池寛の場合はほんとに創作で、まず語りたい話ありきでキャラをはめ込んでいる感じ。
このお話が、みんな素朴で善意で生真面目でたいへん結構です。
やっぱ古典は安心して読めるよ(笑) 自分を見つめ直したいときや道に迷ったときにはぜったい古典を読むべきだと思います。

2008年11月

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正義の裁き

F.ケラーマン/吉澤康子(訳) 【創元推理文庫】

とある事件をきっかけに知り合った、敬虔なユダヤ教徒のリナとロス警察のデッカー刑事のシリーズ最新作。

刑事小説としていかにもロサンゼルスらしい現代アメリカの社会犯罪を題材にしつつ、リナとデッカーの恋愛物語も同時に進行。
シリーズが進むにつれて、結婚したり子供が生まれたり互いの連れ子や親子関係にスポットライトが当たったりと、プライベート面でもなかなかの大河ドラマです(笑)

シリーズ前作は、ユダヤ人とダイヤモンド業界のつながりについて歴史や政治経済も取り込んだ大作ですごくおもしろかったんですが、今作は…

なんですかこのハーレクインロマンスは。

勉強だけが取り得の地味な私に、学校一ステキな彼がとつぜん話しかけてきたの。いったいどうして?!
激しい恋に落ちてしまった私たち。けれど彼が実はマフィアの息子で、親が決めた婚約者がいたなんて! さらに前のガールフレンドが何者かに殺されて、彼が第一容疑者に?! 神さま、私はどうすればいいの?!

あーこう書いたら改めて、これなんてハーレクイン? というか携帯小説?
途中で何度ももうかんべんしてくださいって気になったわ(爆)

しーかーもー、あそこまでやっといて最後の最後になって逃げるってどういうことよ?! 毒を食らわば皿まででしょうが! 覚悟が足りないんじゃこのコムスメが!

といろいろストレスがたまりましたが、そもそもシリーズの最初の話を読んだとき、何このラブサスペンス(笑)と思ったことをすごく思い出しました。
同一シリーズの中でハーレクインのときとハードボイルドなときがあるんですね。
次回作はハードボイルドがいいです。

2008年11月

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クリスマスのフロスト

R.D.ウィングフィールド/芹澤恵(訳) 【創元推理文庫】

古き良き英国刑事モノでおもしろかった!
どれもクセのあるキャラがみんな立ちまくりで笑えます。
いくつもの殺人事件が起こるけれど、本当に悪いヤツや嫌なヤツはいないの。みんなにそれぞれ、彼らなりの理由があるんです。

フロスト警部がまたイイ味なんだな~。なんかコントみたいな人なんだけど、いたって真面目で深みのある人です。小学生並みの下ネタ好きですが。ドタバタの中にチラチラ見え隠れする真摯さのバランスが絶妙。

ユーモラスでハートウォーミング、それでいて語りは毒舌というすんごく英国作家らしい、つまり私好みの1冊。シリーズ物だそうなので続きを読むのが楽しみ!

2008年11月

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