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深海のYrr

F.シェッツィング 【早川書房】

長かった…。

確かに盛りだくさんな内容ではありますけど…。もうちょっとコンパクトになんなかったのかと。つかなんか進まないんだよ。どんどん読み進まないのはなぜなんだぜ。また訳のせいにしちゃうか?

クジラをはじめとする環境保護ネタを下地に、じわじわと迫る謎を描く第1部。
一転して津波と感染爆発でパニックものの様相を呈する第2部。
地球防衛軍(笑)が立ち上がり、SFドラマの第3部。
そしてお約束のハリウッドアクションになだれ込む最終章。

こう説明すると面白そうですね。いや面白かったですけれども。

でも長いよ!

基本的にはまさに映画のノベライズみたいな書き方で、いろんな人たちがあちこちで同時に動くのを短いカットでどんどんつないでいく「24」形式。ほんと流行ってんだなこれ。

しかしその間に膨大なデータ&資料が入ってくるので(これ自体はとても興味深いんですけど)そのドラマ部分がそもそも何だかブツ切りな感じ。

なので、登場人物たちの私的エピソードに至っては非常ーに唐突な感じで、キャラに深みを持たせようとしてるんだろうけど逆に中途半端な印象。しかもみんな結構あっさり死んじゃうし。
私的な背景設定の説明とかは省いて、ドラマの中で行動してる姿のみでキャラ立てしたほうがよかったんじゃないでしょうか。老婆心ながら。

つか、一貫して話の軸になる主人公がいないから話に入りにくかったのかも。
いちおうアナワクがそうなんだろうけど、存在感薄すぎるよ!共感しにくかったよ!

でも話自体は面白かったです。古くから親しまれてきた?アメーバ状で人間を襲う謎の物体Xを科学的に立証してみました的な。こういう理論であれば存在可能です、と。うーんSFだ。

それにしても、これドイツ人作家の小説なんですけど、アメリカ小説とはやっぱり大分おもむきが違って興味深かったです。なんたってアメリカがすごい悪役だし(笑)

とはいえ、ヨーロッパもたいがい独善的だなと。アメリカの独りよがりは今さら言うまでもないけど、ヨーロッパも全然まけてないと思いましたよ。

アメリカが「オレに任せろ!」とゴリゴリやるのを冷ややかに眺めてて、成功すればそれでいいけど実は失敗すればいいのにとひそかに願ってるような。
心の底では、「正しいことを正しくやれるのは結局オレしかいないんだよな」とか思ってそうだよ。

この話のテーマでもある環境保護にしたって、なんか独善的なのよね。
とにかく人間がしっかり監視してコントロールしないといけないんだ!みたいな。
つくづく、あの人たちにとって自然というのは食うか食われるか、支配するかされるかという、闘う対象なんだなと思います。

そもそも環境「保護」だもんね。どんだけ上から目線なのかと。
彼らにとっては「自然との共生」というのはかなり新しい概念なんでしょうね。

でもアジアに言わせれば、そんなもんウチら昔からやってますっつの。
海とも山とも動物ともバランスとってやってきて、クジラだってクマだって根こそぎ獲ったりしてなかったっつの。
それだって別に環境保護なんて考えじゃなくて、あくまでも生きとし生けるもののいのちを尊重するという精神からですから。
もちろん現代社会においては変わってきてるところもあるけど、そもそものスタンスが全然ちがうよね。

つまり何が言いたいかというと、
あんたたちにクジラとるなとか言われたくないってことよ!

2009年2月

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