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2009年3月

向田邦子まつり

初めて読んだ向田邦子は「父の詫び状」(講談社文庫)
さらりとしたエッセイ集なんですが、なにこれ泣ケル…!
可笑しくてクスクス笑っちゃうのに、まさにお天気雨のように涙が出ました。

きょうだいが多くてごちゃごちゃしてる感じとか、お父さんの見えないところで女同士で目配せし合う感じとかがウチの家族にも通じるとこがあるのよね~。家族ネタで泣いちゃうのはあれか。トシのせいか。

実際のエピソードを描いているのに、その中に包まれたほんとうの主題というか、作者の言いたいことが非常に存在感を持って感じられる。それでいて小賢しさを感じないのは語り口の品の良さですね。

「あ・うん」(講談社文庫)は、むかしドラマを見た記憶が。小林薫が出てたやつ。
むかしのひとの潔さ、慎み深さ、美しさがすがすがしいです。

自分の妻に思いを寄せる親友のことを、夫が「惚れてるなんて言っちゃ気の毒だ、あれはおもってるっていうんだ」と言うセリフにぐっときました。繊細だわ。

「眠り人形」「蛇蝎のごとく」(講談社文庫)はドラマのノベライズで、向田邦子の手になるものではありませんでしたが、ドタバタしつつもほろりとさせる、まさに「おはなし」。

ところで、「蛇蝎のごとく」のほうは不倫話なんですけど、この不倫相手の男が全然まったく納得いかないんですけれども!!!
ちゃらちゃらしてて、端から「これは遊びなんで~」とか言い放つし!
何度も言いますけど浮気相手を妊娠させる男は問題外!私が認める不倫は本当に恋に落ちちゃった場合のみ!!遊びの浮気は肯定しません!!!

てことでなんかすっきりしなかったんだけど、この役は津川雅彦がやったそうで、ん~役者によっては説得力が出るキャラなのかしら。。とちょっとドラマを見てみたくなったのでした。
私の脳内イメージでは石田純一で(ベタだわ・笑)まったく許容できなかったんですけど。

そして「思い出トランプ」(新潮文庫)はまさに珠玉の短編集…!
読んだ後になんだか胸がざわつくような。なんとなくイヤな感じが残る。
でも、薄く残ったシミは見ようによっては哀しいようでもあり切ないようでもあり。

なんていうんだろう。巧いんだけど、巧いというより…深いというのかしら。

ひょっとすると当時としてはかなりきわどいことを描いてるのかなあと思います。
私は最近の女流作家はみんな意地悪過ぎるというか露悪的に過ぎる気がしてあんまり好きじゃないんですが、30年前には向田邦子もそう思われてたのかも。。
つまり、それだけ鋭いってことなのね。

2009年3月

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