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2009年4月

チャイルド44

トム・ロブ・スミス 【新潮文庫】

スターリン体制下のソ連。不可思議な児童連続殺人犯の存在に気づいた国家保安省捜査官レオが単身で捜査に臨む。

この事件だけでも十分おもしろそうですが、さらに時代設定が時代設定なわけで、彼には何の捜査テクニックもないばかりか、そもそも夢の共産国に猟奇殺人犯なんかいちゃいけないので、国家としてはそんな殺人事件はないことになっている。

そこをあえて捜査する以上、主人公は国家反逆罪になってしまうんですね。
さらに彼を執念く嫌う同僚もいたりして、なんかもう大変です。
警察ものでもあり冒険ものでもありサイコものでもあるって感じでドッキドキ。
さすがは英国イアン・フレミング賞受賞作。

主人公が(途中でちょっと目覚めるとはいえ)特に自分たちの体制に疑問を感じたりしてないところがクールです。欺瞞に満ちた国家に不信を感じて立ち上がる!みたいな熱さはなくて、あくまでも自己を護ろうとする中で結果的に反逆者になり、殺人犯を追うことになっていく。

そこに説得力があって、なんか改めて、たとえ国家が全体主義であっても、そこに生きてる個人個人は私たちと同じなんだなあと。

己の保身のために家族隣人を密告するなんてひどい民衆だと思ってしまうけど、その社会システムではそれが当然なら、善し悪しは別として、やっぱやるんだろうなあ。
ネットオークションで2,000円のチケットを2万円で売るなんてひどいと思いつつ、まあ世の中ってそういうもんだと黙認するのとなんか似てると思う。
民衆はつねに、その枠の中で精いっぱい利を得ようとするわけで、それは民衆の質がいいとか悪いということではないんだなと。つか話が飛躍しすぎですね私。

あと、これは英国人作家の小説なんですが、ヨーロッパの人にとってのソ連(ロシア)って思ってたよりも北朝鮮なんだなと。

私の中ではロシアは中国と同列なイメージで、まあなんかいろいろ怪しいけど一応意思疎通はできる国という印象だったんですが、ヨーロッパの人はもっと差し迫った不気味さというか異常性を見ているように感じました。まあソ連だとやっぱそうなるか。

そうすると、将来もし北朝鮮が国を開いて曲がりなりにも国際社会の一員となったとしたら、アジアはあの国をどんなふうに見るようになるのかなあ。
ある意味、今みたいにひきこもってるのよりも気持ち悪い、怖いと感じるのかもしれないわ。…つか妄想が飛躍しすぎですね私。

2009年4月

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