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2009年5月

襲撃待機

クリス・ライアン 【早川文庫】

ときどきものすごく読みたくなる襲撃モノ。
主人公は英国SAS軍曹で、北アイルランドでの対テロ活動から南米コロンビアでの作戦行動まで活動は広範囲にわたり、合間に各種訓練の様子や装備の説明も盛りだくさん。
超満足。

襲撃モノの何が好きかというと、非常ーに理路整然としてるところ。
目的があって、それに対してデータを収集し、作戦を立てて必要なものを準備して行動する。何かひとつでも誤解やミスがあるとゲームオーバー、ということで、なんかこう、シミュレーションゲームみたいなんですよね。

これも作者は元SAS隊員ですごくおもしろかったんだけど、それにしても私の偏愛するアンディ・マクナブのニック・ストーンシリーズの新刊はまだでしょうか訳者さま。(→この作品と同じ伏見威蕃)

実体験に裏づけられたディティール描写が売りという点でテイストは似てるんだけど、主人公の性格でだいぶ違います。
ニックはほんとに何かが欠落してるというか…びしょ濡れの犬(→子犬じゃなくて成犬)みたいな哀れっぽさとしぶとさがほっとけないって感じなんですが、このお話のジョーディはもっとずっとまとも(笑)です。人間関係もちゃんとつくれて、明るくて感じがいい。女子にもモテてるし。

というか、ジョーディはあくまでもチーム行動だけどニックは基本単独行動だからか?
まあとにかくニック・ストーンが好きなんです。早く続きをお願いします!

2009年5月

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密謀

藤沢周平 【新潮文庫】

上杉景勝に仕えた知将・直江兼続の物語。
ちょうど大河ドラマでやってますが、あれの直接の原作ではありません。作者らしく、忍びの話なんかも織り交ぜて読みやすくなっております。

ちなみに大河ドラマのほうは、どう見ても能力的に勝っている景虎さまが北条の子だというだけで迫害されて景勝に追い落とされるのが不憫で(;_;)御舘の乱のあたりから見てないんですけれども。

そしたらこのお話の中で兼続が、「景虎のほうが優れていることはたしかだけど彼の清明さは華やか過ぎる。この越後の地には景勝のように地味でもっさりした男が合っている(超意訳)」といってる場面があって、ちょっと慰められました(爆) 確かにそういうことはあるかもしんないわ。
ああでも景虎さま側に兼続がいれば…!と思わずにはいられません。タマテツもかっこよかったわ。。

えー、小説のほうに戻りますと、ちょうど時代の傍流という感じでおもしろいですね。
本能寺の変のときも関が原の戦のときも上杉は参加してなくて、時代がどんどん動いていくのをじっと見ているという。それだけに全体像がわかりやすい感じです。

主流で語られるときには悪役になりがちな石田三成がけっこういいヤツに描かれてるのも傍流ならではでしょうか。だから大河では小栗旬なのかと納得したわ。「へうげもの」(山田芳裕/モーニングKC)の三成はどう見たってやなやつですが。(笑)

いつも思うことですが、歴史なんて誰目線で語るかによって全然ちがってくるものよね。
勝てばいつでも官軍だけど、目線を変えれば官軍にだってダークサイドはあるし、賊軍にだって美談はある。両方知らないとorそういうものだと思ってないと偏るよね。

ところで、信長~関が原という歴史上でも超メジャーなあたりのお話だからということもあるのか、若干説明不足というか細かいところははしょってる感じが。「この人のことは知ってますよね」「この戦のことは知ってますよね」という前提で進んでるところがけっこうあるような気がしました。その辺が藤沢周平なのか。

私は世界史選択だったので実は日本史はあんまりなんですけれども。といっても、じゃあ世界史はバッチリなのかと言われるとそうでもないんですけれども。
なので若干ああ~ん?というところもありましたが、まああまり説明が細かくても飽きるのでこんなもんか。あくまでも歴史小説ではなく歴史時代小説です。

って私、この巻末で初めて歴史小説と時代小説の違いを知りましたよ。
歴史小説は史実に沿った再現小説で、時代小説はその時代を背景にしたフィクションということだそうです。なるほど納得。

2009年4月

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