な行の作家

冬のデナリ

西前四郎 【福音館】

デナリというのは北米マッキンリー山の地元名。1970年代、そのデナリへの冬季初登頂に挑んだチームの足跡を、事実にフィクションを織り交ぜた物語として描いています。

ジュニア向けなせいもあるけど、平易なですます調の文章がなんだか妙に英文和訳調(笑)作者が英語ペラペラな人だからなのかしら。冬山からの奇跡の生還劇はすごくドラマチックだしおもしろいけれど、そういうわけでかなりあっさりした読み物になっています。

登攀モノのあのギリギリの生死感、極限感がたまらなく好きなわたくしとしてはその辺はちょっと物足りないところなのですが(鬼?)、途中で仲間を失ったときのエピソードでは逆にすごく情緒的に悲しみや恐怖をつづっていて新鮮な感じ。
大人向けだと仲間が死んでもたいがいものすごくクールで、それは自分も同じ極限状態だからだとはわかっていても、どうしてこんなふうに割り切れるんだろうといつも不思議だったのよね。
やっぱり割り切れないんだ、でもとにかくその場ではぐずぐず振り返ってる余裕はないから前進するために思考をとめるんだということが納得できました。まあこの作品の仲間たちはかなりぐずぐずしてましたけど(笑)

やっぱ山モノはいいなあ。おすすめの山モノをご存じの方はぜひご一報ください。マンガの「岳」は大好きです。

2008年2月

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怒る富士

新田次郎 【文春文庫】

1707年に起きた富士山の宝永噴火。自然の猛威の前になすすべもない山麓の人々の苦しみと、彼らの救済のために立ち上がる代官、それを阻む権力者たち・・・。
作者らしい几帳面な記録部分と人間ドラマがうまく合体した、読みごたえのあるお話。おもしろかった!!
しかし正しいことを行うひとがつらい目に遭うのは江戸時代のお約束なのか・・・?
←この辺はちょっと飯嶋和一テイスト。

2007年11月

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